オフロードバイクを手に入れ、自然の中を駆け抜ける林道ツーリングに憧れを抱いている方も多いのではないでしょうか。しかし、一歩林道に足を踏み入れれば、そこは舗装路とは全く異なる世界が広がっています。適切な準備を怠ると、転倒による怪我や装備の破損といった失敗や後悔につながりかねません。特に、自身の体を守るプロテクター選びは、林道ツーリングの楽しさと安全性を左右する最も大切な要素です。
この記事では、「オフロードバイクで林道へ行きたいけれど、どんなプロテクターや服装を揃えれば良いのか分からない」というあなたの疑問に徹底的に答えます。プロテクターのおすすめの選び方から、林道バイクに適したパンツや服装、さらにはツーリング服装を活かした街乗りスタイルまで、幅広く解説します。
また、林道をバイクで走ることは違法なのかという基本的なマナーや、おすすめのオフロードバイクの車種、コストを抑えたい場合に林道ツーリングでワークマンの製品が活用できるのかといった点にも触れていきます。安全で快適な林道ツーリングを始めるための知識を、ここでしっかりと身につけていきましょう。
- 林道走行で体を守るプロテクターの重要性がわかる
- 予算やスタイルに合わせた最適な装備の選び方を学べる
- 林道走行の法律やマナーに関する正しい知識が身につく
- 街乗りにも応用できる安全でおしゃれな服装のヒントが見つかる
オフロードバイクのプロテクターが林道で重要な理由

- 林道でのバイク走行は違法?マナー解説
- オフロードバイクの林道おすすめモデル
- 林道で怪我しやすい部位と防具の必要性
- 部位別プロテクターのおすすめと選び方
- 安全性を高めるヘルメットとゴーグル
- 最も重要な装備であるブーツの選び方
林道でのバイク走行は違法?マナー解説
林道ツーリングを始めるにあたり、多くの方が「そもそも林道をバイクで走ることは違法ではないのか?」という疑問を抱くかもしれません。この点は、林道ツーリングにおける最も基本的な知識であり、安全に楽しむための大前提となります。
まず、日本の林道には国有林や私有林、地方自治体が管理するものなど様々な種類があり、全ての林道が自由に走行できるわけではありません。ゲートやフェンスで封鎖されていたり、「車両進入禁止」の看板が設置されていたりする場所への進入は、法律や条例に抵触する可能性があります。したがって、走行前に対象の林道が通行可能かどうかを確認することが不可欠です。
しかし、法律以上に大切にすべきなのが、地域ごとのルールやライダーとしての「マナー」です。たとえ通行が禁止されていなくても、そこは林業関係者の仕事場であったり、ハイカーや地元住民が利用する生活道であったりします。
林道走行で守るべきマナー
- 騒音への配慮: バイクの排気音は、静かな自然の中では騒音となり得ます。特に住宅地に近い林道や早朝・深夜の走行は避け、音量の大きなマフラーは控えるのが賢明です。
- 自然環境の保護: ゴミのポイ捨ては論外です。また、タイヤを無駄に空転させて路面を掘り起こす行為は、道の崩壊を招き、他の利用者の迷惑になります。もし轍を掘ってしまった場合は、可能な範囲で埋め戻すなどの配慮が求められます。
- 他の利用者への配慮: ハイカーや自転車、対向車とすれ違う際は、必ず速度を落とし、必要であればエンジンを停止して道を譲るくらいの心遣いが大切です。挨拶を交わすことで、お互いに気持ち良く空間を共有できます。
- 私有財産の尊重: 林道脇に積まれた丸太は、材木やシイタケ栽培用の原木といった商品かもしれません。これらを練習台のように乗り越える行為は絶対にやめましょう。
これらのマナーが守られないことで、これまで走行可能だった林道が閉鎖されてきた歴史があります。林道は、先人たちの努力と地域住民の理解によって「走らせていただいている」場所であるという意識を持つことが、この素晴らしい遊び場を未来に残すために最も重要なのです。
オフロードバイクの林道おすすめモデル
林道ツーリングを始める上で、バイク選びは楽しみの一つであり、安全性や快適性を左右する重要な要素です。多種多様なオフロードバイクの中から、特に林道ツーリングに適したモデルを選ぶ際のポイントと、おすすめの車種をいくつか紹介します。
林道ツーリング、特に初心者の方におすすめなのは、比較的軽量で足つきが良く、パワーが扱いやすいモデルです。不意なエンストやバランスを崩した際に、自分の力で支えやすいバイクは大きな安心感につながります。
初心者からベテランまで人気の定番モデル
- ヤマハ SEROW(セロー)シリーズ: 「マウンテントレール」というコンセプトの通り、獣道のような険しい道でも粘り強いエンジンと優れた足つき性で乗り手を助けてくれます。残念ながら生産は終了しましたが、中古市場では今なお絶大な人気を誇り、林道ツーリングの代名詞的な存在です。
- ホンダ CRF250L / RALLY: 現行モデルとして人気が高く、扱いやすい出力特性と信頼性の高さが魅力です。特にRALLYモデルは、大型スクリーンや大容量タンクを備え、高速道路を使った長距離移動も快適にこなすため、林道までのアプローチも楽しみたい方に向いています。
- カワサキ KLX230 S / SM: 空冷エンジンならではのシンプルな構造と、軽量スリムな車体が特徴です。特に「S」モデルはシート高が低く設定されており、足つきに不安がある方でも安心して林道に入っていけます。
スタイルの多様化とアドベンチャーバイク
近年では、より長距離のツーリングを快適にこなすアドベンチャーバイクで林道を楽しむスタイルも増えています。ホンダのトランザルプやヤマハのテネレ700などが代表的ですが、これらは車重がありパワーも大きいため、ある程度のスキルと体力が求められます。まずは扱いやすい250ccクラスから始め、自分のスタイルに合わせてステップアップしていくのが良いでしょう。
どのバイクを選ぶにしても、大切なのは自分の体力やスキルに合っていることです。見栄を張らず、心から「楽しい」と思える相棒を見つけることが、林道ツーリングを長く続ける秘訣と言えます。
林道で怪我しやすい部位と防具の必要性

舗装路と比べて、林道は路面が不安定で、予期せぬ障害物も多いため、転倒のリスクが格段に高まります。このリスクを理解し、適切な防具で体を守ることが、林道ツーリングにおける絶対条件です。では、具体的にどの部位が危険にさらされやすいのでしょうか。
最も怪我のリスクが高い「足」
林道で最も怪我をしやすい部位は、くるぶしから膝にかけての「足」です。転倒時にバイクと地面の間に足を挟まれるケースが非常に多く、打ち身や捻挫、最悪の場合は骨折につながることもあります。また、前方を走るバイクが跳ね上げた石(飛び石)が当たったり、木の根や岩に足をぶつけたりする危険も常に存在します。普段履いているライディングシューズやスニーカーでは、これらの衝撃から足を守ることはほぼ不可能です。
命に関わる「胸部・背中」
二輪車の死亡事故において、損傷主部位として頭部に次いで多いのが胸部であるというデータがあります。林道では、転倒時にハンドルが胸に突き刺さったり、木の枝や岩などの障害物に強打したりする危険性があります。たとえ転倒しなくても、飛び石が胸部に直撃すれば深刻なダメージを受けかねません。背中も同様に、転倒時の衝撃から脊椎を守るために防護が不可欠です。
転倒時にとっさに出る「肘・腕」
人間は転倒する際、とっさに手や肘をついて身を守ろうとします。しかし、砂利や岩が転がる林道では、その行為自体が骨折や深刻な擦過傷の原因となります。肘を適切に保護することで、こうした怪我のリスクを大幅に軽減できます。
これらの部位は、通常のライディングジャケットに内蔵されているソフトパッドだけでは防御力が不十分な場合が多いのです。だからこそ、オフロード走行に特化した、より強固で広範囲を保護できる専用のプロテクターを装着することが、自分自身の身を守る上で極めて大切になります。
部位別プロテクターのおすすめと選び方
林道走行における怪我のリスクを理解した上で、次は具体的にどのようなプロテクターを選べば良いのかを見ていきましょう。プロテクターには様々な種類があり、保護性能や装着方法、価格も多岐にわたります。ここでは主要な部位ごとに、プロテクターの種類と選び方のポイントを解説します。
胸部・背中(チェストプロテクター)
上半身を保護するプロテクターで、主に「ルーストガード」とも呼ばれるアウタータイプと、ジャケットの下に着込むインナータイプがあります。
- アウタータイプ: 硬質プラスチックで広範囲を覆うものが多く、防御力が高いのが特徴です。着脱が容易で、見た目にもオフロードらしいスタイルになります。ただし、動きがやや制限されることや、上に着るウェアが限定される点がデメリットとして挙げられます。
- インナータイプ: 柔軟な素材で作られており、体にフィットしやすく動きを妨げにくいのがメリットです。手持ちのジャケットやジャージの下に着用できるため、服装の自由度が高まります。近年では、衝撃を受けた瞬間に硬化する特殊素材(例:D3O、ESA)を使用した高性能なモデルも人気です。
膝(ニーガード・ニーブレース)
膝からすねにかけてを保護する重要な装備です。
- ニーシンガード: プラスチック製の硬いシェルで膝とすねを覆う、最も一般的なタイプです。比較的安価で入手しやすく、基本的な保護性能を備えています。
- ニーブレース: 膝の関節をフレームで固定し、捻じれや過伸展といった靭帯損傷のリスクを大幅に軽減する、より高度なプロテクターです。高価ではありますが、本格的に林道走行を楽しみたい方や、過去に膝を痛めた経験がある方には、最高の安心感をもたらしてくれます。
肘(エルボーガード)
肘の関節部分を保護します。こちらもインナータイプが主流で、スリーブ状のものやバンドで固定するタイプがあります。膝と同様に、衝撃吸収素材を使用した動きやすいモデルがおすすめです。
プロテクターを選ぶ際は、必ずCE規格などの安全基準を満たしているかを確認しましょう。また、フィット感が非常に重要なので、可能であれば実際に試着して、自分の体格やライディングスタイルに合ったものを選ぶことが、快適性と安全性の両立につながります。
プロテクター種類 | 主なメリット | 主なデメリット・注意点 |
アウタータイプ | 高い保護性能、着脱の容易さ、オフロードらしい見た目 | 動きの制限、ウェアが限定される、かさばる |
インナータイプ | 動きやすい、服装の自由度が高い、スマートな見た目 | 着脱がやや手間、アウターより保護範囲が狭い場合も |
ニーブレース | 膝の靭帯損傷リスクを大幅に軽減、最高の保護性能 | 価格が非常に高い、フィッティングがシビア |
安全性を高めるヘルメットとゴーグル

頭部を守るヘルメットは、バイクに乗る上での最低限の装備ですが、林道ツーリングにおいては、その選び方が安全性と快適性に直結します。オンロード用のフルフェイスやジェットヘルメットでも走行は可能ですが、オフロード専用ヘルメットには、林道を走るために考え抜かれた機能が備わっています。
オフロードヘルメットが適している理由
- バイザー: 頭頂部から長く伸びたバイザーは、前方からの日差しを防ぐだけでなく、前走車が巻き上げる泥や小石、そして木の枝などから顔や目を守る重要な役割を果たします。
- 広い視界と通気性: オフロードヘルメットはシールドがない代わりに、ゴーグルと組み合わせて使用することを前提に設計されています。これにより、広い視界を確保できます。また、運動量が多く息が上がりやすいオフロード走行でも、ゴーグルはシールドに比べて格段に曇りにくくなっています。
- チンガード(顎部分)の形状: 顎の部分が前方に張り出しているのは、転倒時の衝撃から顎を保護すると同時に、口元のスペースを確保して呼吸しやすくするためのデザインです。
シールド付きのオフロードヘルメット(アドベンチャーヘルメット)も存在し、オンロードでの快適性も高いため、ツーリングスタイルによっては良い選択肢となります。
ゴーグルの重要性
オフロードヘルメットとゴーグルはワンセットです。ゴーグルを装着しない状態で走行することは、目に枝や石が直撃し、失明に至る可能性もある極めて危険な行為です。オフロード用のゴーグルは、フィット感が高く、ヘルメットのストラップがズレないように滑り止め加工が施されています。レンズにも、クリア、ミラー、曇り止め加工がされたダブルレンズなど様々な種類があるため、天候や好みに合わせて選ぶことができます。
ヘルメットを選ぶ際は、プロテクター同様にSG規格やJIS規格といった公道走行可能な安全規格に適合していることを必ず確認してください。
最も重要な装備であるブーツの選び方
前述の通り、林道ツーリングで最も怪我をする確率が高い部位は足です。そのため、足元を守るブーツ選びは、プロテクターの中でも特に慎重に行うべきです。スニーカーや一般的なライディングシューズでは、オフロードの過酷な環境には到底対応できません。足首を確実に保護できる、オフロード専用ブーツの着用が必須となります。
オフロードブーツの種類と特徴
オフロードブーツと一言で言っても、用途に応じていくつかの種類に分かれます。
- モトクロスブーツ: ジャンプなどの大きな衝撃を想定して作られており、プロテクション性能は最も高いです。しかし、非常に頑丈で硬いため、バイクを降りて歩くことが多いツーリングにはあまり向きません。
- エンデューロブーツ: モトクロスブーツに近い保護性能を持ちつつ、ソールがブロックパターンになっており、ぬかるんだ路面などでバイクを押したり歩いたりする際のグリップ力が高められています。林道ツーリングには最もバランスが取れた選択肢と言えます。
- トライアルブーツ: 動きやすさと繊細な操作性を重視しているため、非常に柔らかく作られています。プロテクション性能は他の2つに劣りますが、歩きやすさは抜群です。比較的フラットな林道をのんびり楽しむスタイルの方には良いでしょう。
アドベンチャーバイク向けの選択肢
近年人気の高いアドベンチャーバイクでのツーリングでは、オンロード走行の快適性も考慮された専用のブーツも多数販売されています。ガエルネの「タフギア」のように、オフロードブーツほどの厳つさはないものの、くるぶしをしっかり保護し、歩きやすさと安全性を両立したモデルは、オンロード走行の割合が多い方にとって有力な選択肢となります。
選び方の最重要ポイント
オフロードブーツを選ぶ上で最も大切なのは、実際に試着することです。サイズが合わないと、靴擦れでまともに歩けなくなったり、プロテクション効果が十分に発揮されなかったりします。特に、膝に装着するニーガード(ニーシンガード)はブーツと干渉することが多いため、購入予定のニーガードを持参、あるいは装着した状態で試着することを強く推奨します。
最適なオフロードバイク プロテクターと林道の服装

- 林道バイクに適したパンツや服装とは
- シーンで考えるツーリング服装のポイント
- 普段使いもできる服装と街乗りの注意点
- 林道ツーリングにワークマン製品は使える?
- 安全なオフロードバイク プロテクターで林道へ
林道バイクに適したパンツや服装とは
プロテクターで体を守る準備ができたら、次はその上から着用する服装を選びます。林道ツーリングでは、動きやすさ、耐久性、そして温度調節のしやすさが服装選びの鍵となります。
基本スタイルはジャージ&パンツ
モトクロスやエンデューロレースで選手が着用しているような、カラフルなジャージと専用のライディングパンツが最も基本的なスタイルです。
- オフロードジャージ: 吸湿速乾性に優れたポリエステル素材で作られていることが多く、激しい運動でかいた汗を素早く発散させてくれます。プロテクターの上から着ることを想定しているため、ゆったりとした作りになっています。ただし、ポケットなどの収納機能はほとんどないため、荷物は別途バッグを用意する必要があります。
- ライディングパンツ: 非常に丈夫な生地で作られており、転倒時の摩擦や木の枝との接触から肌を守ります。膝周りにはプロテクターを収納するための立体的なスペースが確保されており、シートとのグリップを高めるための革製パネルが内股に配置されるなど、オフロード走行に特化した機能が満載です。
ジャケットという選択肢
アドベンチャーバイクや、秋冬のツーリングでは、プロテクション機能を内蔵、あるいは追加できるライディングジャケットも良い選択肢です。オンロード用に比べて動きやすさを重視した設計になっており、ポケットが多く収納力に優れるモデルや、ベンチレーション機能で温度調節がしやすいモデルもあります。
服装を選ぶ際は、インナープロテクターを中に着込むことを考慮して、少し余裕のあるサイズを選ぶことが大切です。可能であれば、プロテクターを装着した状態で試着することをおすすめします。ジーンズなどの普段着での走行は、転倒時に簡単に破れてしまい、深刻な怪我につながるため絶対に避けましょう。
シーンで考えるツーリング服装のポイント

林道ツーリングと一口に言っても、そのスタイルは様々です。自宅から数時間かけて林道へ向かうのか、トランポでバイクを運んで現地で乗り出すのか、また走行する林道の難易度によっても最適な服装は変わってきます。ここでは、いくつかのシーンを想定した服装のポイントを解説します。
自走で林道へ向かうアドベンチャースタイル
高速道路などを使って長距離を移動し、目的地の林道を少し走る、といったアドベンチャーバイクに多いスタイルです。この場合、オンロード走行の時間が大半を占めるため、走行風による疲労や体温の低下を防ぐ機能が重要になります。 防風・防水・透湿性に優れたアドベンチャー系のジャケットやパンツが最適です。プロテクターはジャケットに内蔵されたものでも良いですが、より安全性を高めるならインナープロテクターを着用し、ジャケットはアウターとして機能させるのが理想的です。また、オフロード走行で暑くなった際に、インナーの防寒着を脱いで温度調節できるレイヤリング(重ね着)が効果的です。
本格的な林道走行を楽しむスタイル
山深い林道や、難易度の高いセクションに挑む場合は、運動量が非常に多くなります。このようなシーンでは、プロテクション性能と動きやすさ、そして通気性を最大限に重視した服装が求められます。 前述のオフロードジャージとライディングパンツの組み合わせが基本となります。汗をかいても快適さを保つことができ、体の動きを妨げません。
忘れずに携行したいレインウェア
山の天気は変わりやすいものです。たとえ晴れの予報でも、レインウェアは必ず携行しましょう。雨を防ぐだけでなく、気温が急に下がった際の防寒着としても非常に役立ちます。コンパクトに収納できる、バイク用のしっかりとした耐水圧を持つ製品を選ぶと良いでしょう。
普段使いもできる服装と街乗りの注意点

「オフロードバイクには興味があるけれど、いかにもな装備で街を走るのには少し抵抗がある」と感じる方も少なくないでしょう。しかし、近年の装備の進化により、安全性と普段着に近い見た目を両立させることが可能になっています。
インナープロテクターの活用
このスタイルを実現する上で鍵となるのが、インナープロテクターです。ジャケットやパンツの下に装着するため、外見からはプロテクターを付けていることがほとんど分かりません。例えば、体にフィットするスリーブ状のインナープロテクターを装着し、その上から少しゆとりのあるお気に入りの長袖Tシャツやパーカー、そして耐摩耗性に優れたライディングデニムを合わせれば、街に溶け込むカジュアルなスタイルの完成です。 特に、衝撃吸収素材を使用した薄型で高性能なインナープロテクターは、着ぶくれしにくく、自然なシルエットを保つのに役立ちます。
足元もカジュアルに
ブーツに関しても、本格的なオフロードブーツではなく、くるぶしを保護するハイカットのスニーカータイプや、登山靴のようなデザインのライディングシューズを選ぶことで、バイクを降りて歩く際も違和感が少なくなります。ただし、これらのシューズは本格的なオフロードブーツに比べて保護性能が劣るため、走行する場所や走り方に合わせた選択が求められます。
街乗りでの注意点
街乗りだからといって、安全装備を怠ってはいけません。アスファルト上での転倒は、土の上よりもはるかに大きなダメージを体に与えます。見た目を重視するあまり、プロテクターを装着しなかったり、半袖半ズボンで運転したりすることは絶対に避けるべきです。カジュアルな見た目の中にも、最低限のプロテクター(特に膝、肘)は必ず装着し、不測の事態に備える意識を常に持つことが大切です。
林道ツーリングにワークマン製品は使える?
近年、高機能かつ低価格な製品で人気を集めるワークマン。その製品を林道ツーリングに活用できないかと考える方も多いでしょう。結論から言うと、「アイテムを選べば有効に活用できるが、安全性に関わる装備は専用品を選ぶべき」となります。
活用できるワークマン製品
- インナーウェア: 吸汗速乾や冷感、保温といった機能を持つインナー類は、非常にコストパフォーマンスが高く、林道ツーリングでも快適さを保つのに役立ちます。
- グローブ: 細かな作業用に作られたフィット感の良いグローブは、オフロードバイクの繊細な操作を妨げず、安価なため汚れても気になりにくいというメリットがあります。ただし、プロテクション機能はほぼありません。
- レインウェア: 高い耐水圧を誇る「イージス」シリーズなどは、急な雨への備えとして非常に有効です。バイク専用設計ではないため、走行風でのバタつきなどには注意が必要ですが、価格を考えれば十分な性能と言えます。
注意が必要なアイテムと限界
一方で、安全性に直結するアイテムをワークマン製品で代用することには、大きなリスクが伴います。
- アウターやパンツ: アウトドア用のジャケットやパンツは、日常的な使用や軽いハイキングを想定しており、バイクでの転倒時に求められる引き裂き強度や耐摩耗性は備えていません。アスファルトはもちろん、林道の砂利道で転倒すれば、簡単に生地が破れてしまいます。
- 安全靴や長靴: これらをオフロードブーツの代わりに使用するのは非常に危険です。足首を保護する機能や、バイクのステップを踏ん張るための剛性が全く異なり、転倒時に深刻な怪我につながる可能性があります。
- プロテクター類: ワークマンではバイク専用のプロテクターは基本的に扱っていません。体を守る最も重要な装備は、必ず安全規格を満たしたバイク専用品を選んでください。
予算を抑えたい初心者の方が、インナーやグローブなどから試してみるのは良い方法です。しかし、安全性を確保するという大前提を忘れず、プロテクター、ヘルメット、ブーツといった核心的な装備には、しっかりと投資することが賢明な判断です。
オフロードバイクのプロテクターで安全に林道走行
今回の記事の内容をまとめます。
- 林道走行は法律だけでなくマナーを守ることが最も重要
- 走行前には林道が通行可能か必ず確認する
- 自然環境や他の利用者への配慮を忘れない
- 初心者には軽量で足つきの良いオフロードバイクがおすすめ
- 最も怪我をしやすいのは足でオフロードブーツは必須装備
- 命に関わる胸部や背中を守るプロテクターの着用は不可欠
- ヘルメットは視界が広く通気性の良いオフロード用が最適
- ゴーグルは目の保護のために必ずヘルメットと併用する
- プロテクターはCE規格など安全基準を満たした製品を選ぶ
- インナープロテクターは服装の自由度が高く街乗りにも向く
- 服装は動きやすく丈夫な専用のジャージやパンツが基本
- アドベンチャースタイルでは防風防水性と重ね着が鍵
- レインウェアは雨天時だけでなく防寒具としても役立つ
- ワークマン製品はインナーや小物に活用できるが安全装備は専用品を選ぶ
- 全ての装備は実際に試着してフィット感を確認することが大切